ねにもつタイプ

絶対、読んだら面白いだろうし、読むべきなんだけど、と思いつつ手を出さなかった岸本佐知子さんの「ねにもつタイプ」。
先日、鍼医の待ち時間に入った本屋で結局、買ってしまいました。

いやー、面白い。
噂どおり、天才だ、この人は。
身近な、ありふれた出来事、たとえば子どもの頃愛用していた毛布だとか、目の中のゴミといったことから飛躍して、とんでもないところに結びつける。この人の手にかかると、平凡な日常もたちまちスペクタクルな、あるいは面白おかしい出来事へと変貌する。
頭の中を覗いてみたくなるような豊かなイマジネーション、芸としか言いようの無い、オチのつけ方のうまさ。
なにより文章がいい。突飛な語彙は使わないのに、ひとつひとつの言葉使いが粒だっている。
久々に上質の日本語の文章を読んだ、という気にさせられた。

って、なんとなくわかっていたから読みたくなかったんだけど。
才能のある人っていうのは、いるんだよね、ほんとに。
ただの読者としたら、こういう才能に会えたことを喜びたいし、即、本屋に走って岸本さん関係の本を買い漁りたいところだが、同じもの書きの端くれとしては、打ちのめされます。
小説でなく、エッセイなら大丈夫かも、と油断したのは失敗でした。3日ばかり落ち込みました。
まあ、天才と比べても仕方ないんで復活しましたけど、今の小説を書き終わるまで、岸本さんの本は読むまいと堅く決意をしたことでした。

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朝日ソノラマ解散

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070621-00000098-mai-soci

男の子もののライトノベルの元祖と言われているソノラマ文庫はどうなってしまうのだろう。
80年代後半には「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」(のちのスニーカー文庫に移籍)のノベライズや、菊池秀行の「ヴァンパイアハンターD」とか夢枕獏の「キマイラ・吼」シリーズなど、画期的な企画をばんばんだしていました。のちの富士見ファンタジア文庫や角川スニーカー文庫にも大きな影響を与えた、というか、ソノラマ文庫がなければ、今の男の子もののライトノベルの隆盛もなかったかもしれない。

かなり前から業績不振の噂は聞いていたけど、いざ決定となると寂しいものですね。ひとつの時代が終わったという気がします。

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店頭告知

「のだめ」の新刊が出ていたので、購入する。
最近は家で仕事をしているので、うっかりするとコミックの新刊を買い逃す。会社にいた頃は誰かから情報が入ったし、商売柄、コミックの棚もよくチェックしていたから。
私の場合、コミックを買うのは、すでに買い続けているシリーズの新刊だけ(だから2ヶ月か3ヶ月に1度くらい)なので、逆に忘れてしまうんだな。本屋に寄っても、コミック売り場は最近では滅多に立ち寄らないし。

今日めでたく「のだめ」を買えたのは、たまたま近所の本屋の前を通りかかったら「のだめカンタービレ⑰」という手書きのポスター(といっても、白い紙にマジックで大きくタイトルだけ書いたもの)を発見したから。この店はコミックの新刊が出るとタイトルだけ書いた紙をべたべた店の外に貼っている。だから常に10数枚のタイトルがばらばらに並んでいる。
お手軽だけど、これはなかなかいいやり方だと思う。わざわざお店を覗かなくても、何の新刊が最近出たか(さらにはその店に入荷されたのか)がわかるから。私のような不精なコミックファンにとっては、そのポスターが1番手軽な情報源だ。
おかげで「のだめ」の新刊も、そんなに遅くならないうちに購入できて嬉しい。ほかの書店でもやってくれるといいのに、と思ったりする。もっとも、美しい外見にこだわるお店ではちょっと無理かもしれないけど。

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推理作家の発想工房

原稿は1日、どれくらい書くのですか、と尋ねられることがある。
実はそんなに長時間ではない。すごく順調な時で、1日、3時間か4時間もできればいいところ。だいたいこれくらいやると、頭がフリーズしたように疲れて、書けなくなる。
「これじゃあ、時間少なすぎるなあ」
と最初は思っていたのだが、知人で小説書いている人間(兼業作家)ふたりに聞いたら、
「そんなもんだよ」
と口を揃えて言った。そんなに長時間、書いていられるものではないらしい。
「それだったら、作家なんてヒマじゃん」
と、思うが、実はそうでもない。コンスタントに4時間集中できる状態に持って行くところが実はとてもしんどい。時間があればできるか、というとそうでもなく、作品に集中できるような精神状態、集中力に持って行くのがたいへんだ。小説なんて、頭の中の絵空事なわけで、まだ形になっていないそのことに、ずっと神経を集中させていくことは辛い。楽しいことや考えれべきことはほかにもいろいろあるしね。その日書くページでどんなことが起こるか、事前に十分、考えておかないと書き出せないから、アイデアが浮かばない時は書き出せないし。それで書けないことで煩悶して、また辛くなるという悪循環。

ほかの専業作家はどうなのか、と思って、「推理作家の発想工房」(文藝春秋社刊)という、大昔に買った本を取り出してみた。これはカトリーヌ・アルレーから、グレアム・グリーン、エド・マクベインなど、錚々たる作家の仕事場を取材した労作である。その中に、執筆時間についても何人かの取材では触れている。普段は別のことをしていて、書くときは集中して1日16時間ぶっ続け、というような人もいるけど、むしろそれは少数。
毎日、執筆は3時間とか4時間と決めている人の方が多い。時間は短くても、彼らはそれをコンスタントに生活のリズムに組み入れている。
それを知って安心しました。プロ中のプロでも、1日3時間ってこともあるんだから、新米の自分だって、それでいいんだ。それが自分のペースなんだから。

おそらく、先を急ぐから苦しくなるんでしょうね。締め切りをすでに破っているわけだし。でも、執筆スタイルは人それぞれ。だから、自分のペースを自分で理解し、それを守ればいいのだ。たとえ1日10枚でも、50日続ければ500枚なんだから(実際は50枚書いて30枚破ったりするから、コンスタントに行くとは限らないけど)。
なんてことを、新米作家はこの本で改めて知らされました。大事なのは、あきらめないこと、投げ出さないこと、ペースを守ることですね。
それを思って、今日も頑張ろう。

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